【蔵の概要】
　「巌」醸造元の高井株式会社は、享保14年（1729年）創業の老舗蔵で、群馬県藤岡市で清酒「巖」、十代目作右衛門、上州の寒梅、その他諸々の酒を製造しています。
　
　酒蔵は約30年前の昭和62年に新築して衛生的な環境で酒造りをしています。最盛期は3000石、現在は全体は未公表で「巌」だけは200石


　高井家は元々は近江商人で、近江国から関東方面へ行商し群馬に酒蔵を建てたという江戸期の豪商（実業家）で、他にもつい最近まで三重県内にも酒蔵を持っていたそうです。

　この様に江戸期には近江商人が興した酒蔵を江州蔵と云い、関東から東北方面にかけて数十軒から数百軒の近江商人資本の江州蔵が点在していたそうです。

【江州蔵（ごうしゅうぐら）】
　江州蔵は南部藩（陸奥国岩手郡盛岡）の御用商人であった近江商人の村井・小野氏が、 慶長5年（1600年）に伊丹の鴻池善右衛門が考案した仕込み樽を用いた醸造法を南部藩に伝授し、盛岡城下で効率よくお酒を量産出来たため南部杜氏が育ち、南部杜氏の酒造技術と近江商人の資本が合致し、南部藩から南下する形で関東から東北方面にかけて江州蔵が普及した経緯があります。

【異色の十一代目当主】
　現在高井家当主は十代目で、次期十一代当主になる高井幹人専務が2003年に蔵入りされて（平成になり南部杜氏ではなく）越後杜氏と二人三脚で「力強い旨味ある酒」をコンセプトに酒造りに邁進されています。
また、高井幹人専務は慶応大学商学部（野球部を）中退し、京都大学文学部（野球部）へ進み、大手食品商社を経て自家の酒蔵へ戻られた異色の経歴を持つ熱血漢でもあります。酒質への好影響に期待大です。

【「巖」の由来】
　巖の由来は、日清戦争、日露戦争の英雄で「陸の大山、海の東郷」と云われた大山巖元師陸軍大将の巖からとったもので、当時に元師陸軍大将から了承を得ているそうです。